生まれ変わり



箱入りリオン
猫ってダンボール箱好きだよねぇ・・・

ほんの少し、不思議なお話を・・・・

ある年の11月末の日、一匹の猫が永眠しました。
腹膜炎・・・お腹の中に水がたまる病気でした。まだ生まれて一年も経っていない寒い冬の朝、その小さな命は天に召されました。

それから時は過ぎ・・・
ある日の夜、仕事から帰ってくると、我が家の前に近所のおばちゃんが二人立ち止まっています。

・・・・?なんだろう?

不思議に思って近づくと、足元に小さな黒いものが駆け寄ってきます。
にゃぁ〜
それは、真っ黒い小さな子猫でした。人懐っこく足元に擦り寄ってきて、もぞもぞと前足を交互に踏みしめるあの子猫独特の動作を繰り返しています。

「お宅の飼い猫ちゃん?すごく人懐っこいわね?」
おばちゃん達は、その子にかりんとう(・・・んなもの、猫にやるなよ・・と思うが・・(^_^;))を食べさせながら、問い掛けてきます。
「いえ、うちの猫じゃないですけど・・・毛並みもきれいだし、野良猫じゃなさそうですね。迷子でしょうかねぇ?」
どうやら、とてもお腹が空いている様子、ちょうど買って帰っていたドライフードを差し出してやると、子猫は夢中で食べ始めました。

・・・・・かわいいっっ・・・(>_<)

しかし・・・とにかく毛並みが奇麗。よその子だとしたら、勝手に連れ去るわけにもいきません。
とても気になりながら、その夜は餌と水だけ玄関先に用意してあげることにしました。

翌朝、出社のため家を出ると、その子はまだそこにいました。小さな庭の片隅に積み上げられた枯れ草をベットにして。
その日、昼前から雨が降り始めました。
あの子は、まだ我が家の庭にいるのでしょうか・・・
気になって仕方なく、我が家に電話をかけました。

「うん、まだいたから、家の中に入れてあげたよ?」

友人達がそう告げてくれました。
安堵して、その日の仕事を終えて帰宅。小さな黒猫は、我が家ですっかりくつろいでいました。・・・まるで、自分の家のように。

友人の話によると、その子は家に入れてやるなり、誰が教えたわけでもないのに、まっすぐに猫トイレに向かって用を足し、まるでずっと前からここにいたかのようにくつろぎ始めたそうです。

ふと・・・ある想いが浮かびました。
子猫が現れたその日は11月末・・・一年前に小さな子猫「フォン」くんが天に召された日とほぼ同じ時期ではなかったか?
そして、子猫がいた庭の枯れ草のすぐ側には「フォン」くんの亡骸が眠っている・・・

もしかしたら・・・この子はフォンくんの生まれ変わりなのではないのかしら?

・・・・たぶん、偶然なのでしょう。
でも、もしかしたら・・・ほんのわずかしか愛してあげられなかったあの小さな命がここに戻ってきてくれたのだとしたら・・・ここは、あの子にとって居心地のいい場所だったのだと思ってもいいのかな・・・?

ちょっとだけ、不思議な話でした。


余談・・・結局、そのままうちの子になった黒猫「リオン」君・・・
今現在・・・思うこと。
「フォン」君はあんたみたく、ずぶとくなかったしっ、さわがしくもなかったやいっ!!!(笑)
ふっ・・・とっても元気で嬉しいよっ(涙)
だぁぁぁぁっ!!!走り回るなぁぁっ!!!


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